人形は3体のみ
画面の映りによってサイズを変えることなく、1点モノで13年間使いました。造形をやっていたというわけではないですし、道具も特になかったので作り方は独自です。サイズは少年の高さが約16cm。バクの高さは24cm。DINOの体長は41cmです。サイズはセットサイズから考えて少年の大きさが決まり、それに対して他2体の大きさを決めました。

関節
人形の中には金属アーマチュアが入っています。最初は足だけ金属にする予定でしたが、作っていたら楽しくなって、結局全身金属になりました。でも金属でなければこんなに長期間保たなかったと思います。
素材は真鍮です。球体部分は真鍮球に穴を開けて金属棒を接着します。穴開けはボール盤ではなくて電動ハンドドリルでした。穴を開ける時の球の押さえはペンチです。無茶なやり方ですけれども。DINOの頭は画像のものと本番では目の部分が違います。目を動かすつもりでパーツを分けていましたがやめました。バクの首の部分はボールジョイントではなくトルクヒンジを使っています。

球を挟む真鍮板は、東急ハンズで買った平棒をボルトクリッパーで数センチに切ったもの。その切り口を棒ヤスリで削って形を整え、ハンドドリルで球体を挟む穴と、ネジを通す穴を開けました。球体を挟んだ真鍮板を固定するのは六角ネジです。そのやり方で、ほぼ破損なしで13年保ちました。でも片手でドリルを持ち、片手で球を押さえるというこのやり方を勧めはしません。他人に使わせられません。少年の顔やバクの体表はラテックスで出来ていますが、型取りではありません。DINOはアーマチュアの上から布の貼り合わせです。

顔の表情は動かしたかったので、制作を考えた当時に上映があった「コープスブライド」の人形を参考にしつつ、メカニカルでは大きくなるから、手で触って表情がつけられるように、口周りに関節を仕込みました。3体とも口の中にはクワガタの顎のような機構が入っていて、それを動かすと頬が動くようになっています。
少年とDINOは口元にシワが寄るような笑みを浮かべる場面があるのでそれに対応出来るようにしています。

「あっ」というような口は、口の中のクワガタ機構を使わずに口だけ開ける。

奥歯を噛んだような口の形は、クワガタ機構を左右両方上に上げる。


「えっ?」というような口の形は、口を少し開けつつ、クワガタ機構を左右に開く。


少年の顎のパーツは図のように作られています。
真鍮、アルミ、部分的にゴムとパテを使用。人形のサイズを大きくは出来ないため、機構で使うネジのサイズを決めてから構造を考えて頭部を作り、それが結局人形全体のサイズの決定になりました。

バクの関節イメージ。
実際には足の部分の関節は下半身の土台(バルサ材で作成)から直接下に出る形に簡略化されました。
バクは口を開けてニヤッとするイメージがあったので、そう出来るように考えてます。

人形の固定
土台からネジを貫通させ、足の裏で止めて立たせる方法(タイダウン式)にしていたので、スタイロフォームにネジを貫通させて下から固定していましたが、途中からはセットに刺した釘に立てかけるだけだったり方法は様々。
通称『タンク』はDINO!では使用していません。浮く場面は基本的に吊りです。しかし吊りをやる時は部屋の中を吊り具を固定するための棒が横切るので、撮影場所に座るために棒をくぐったり跨いだり、監視レーザーを避けて建物に侵入するみたいな感じでした。

吊り道具は「死者の書」の終了後にいただいたものを使っています。ラックギアを使って作るこれは工作として特殊ですが、上から吊り下げることだけを考えるとこの形に拘らなくても出来ます。関節式のクリップ「せぼねくん」も結構使いました。
吊りは下準備が少し掛かり、ライティングの制約も少し出てきます。
最近はタンクが主流になってきているので吊り道具は徐々に見なくなってきている気はします。

年1回くらいはメンテナンスをしていましたが、アーマチュアの破損はほぼなかったです。13年間で起きたのはやはりラテックスがダメになっていくこと。
衣装は手縫いです。
少年のコートの下の服が水色のボーダーなのは、ディズニー版ピーターパンの登場人物のスミーからの引用だったりします。